安藝悟音読ライブ+浅山美由紀作品のコラボレーション

音読ライブ@楓ギャラリー

安藝の音読ライブでは初となる美術展とのコラボレーション。美術家の浅山美由紀氏とは数年来の交流がある。これまで赤いシルクオーガンジーの作品、細胞のように斑点をちりばめた平面作品は見たことがあったが、浅山氏によると「今回の展示作品の中心は、細胞や生まれ出てきたものをシャーレに閉じ込める」と、展覧会前にコンセプトをうかがう。

音読作品「ねじれる気持ち」は、特にシャーレのイメージが「理科の実験室で顕微鏡で細胞をのぞく」(浅山氏)ということの無機質さを感じたことと、これまでのシルクオーガンジーなどで表現されていた情緒的な部分とを意識しつつ、情緒的、無機質、の属性に加えて、暴力性を軸に取り入れた。 「ねじれる」はこの作品自体でも完結できるが、しかし展覧会で音読されることにより成立するよう、ある種の不完全さを抱え込むように執筆した。
作品自体の出来については、読者諸賢に判断を委ねるとしても、こうした展覧会の中で開く音読ライブの可能性を想像以上に感じる結果となった。なにより、ライブ後の交流会が非常に有意義に感じられた。音読作品を通じて浅山作品の見方を変えたという意見、浅山作品と音読とが心地よく融合されていたといった意見や、逆に人物設定やラストシーンを巡り否定的な意見も忌憚なく出された。芸術作品、実験としての作品、といったものがここに受け入れられているということ、また、アートの現場の底力というものを強く感じられた。
このような 場所で音読ライブを開く機会を下さった、浅山氏、並びに楓ギャラリー様に感謝申し上げるとともに、ここでの経験や、ご来場いただいた読者の方々から頂戴した期待感に恥じぬ音読ライブを今後も続けたい。